①カーナビの歴史
アメリカで自動車が生活必需品となった20世紀の初め頃、道路標識の表示の不備などで道に迷う運転手が続出したといいます。対策として1906年(明治39年)に、車の進行にあわせてロール状の地図を巻き上げて位置を測るという原始的な方式の「自動車カルテ」と呼ばれるものが考案されます。
1970年代になると起点と終点を記録して位置を測るカーナビが発案されます。日本では、1981年 (昭和56年)にホンダがジャイロ式カーナビの販売を開始。デジタル地図やGPSがない時代の画期的な製品として注目を浴びます。
アメリカで地球上の現在位置をGPS衛星によって測るナブスター全地球位置把握システムが発明された後は、GPSを基準にした電波航法とカーナビのセンサー類によりCD-ROMに記録された道路情報を読み出す方式、GPSの送受信で位置情報の誤差を補正できるディファレンシャルGPS搭載の製品が開発されます。
その後、トヨタやマツダ、パイオニアなどがGPS式カーナビを次々に発売。1992年(平成4年 )になると音声でのナビゲーション機能が可能になります。近年では、HDD式・ワンセグTV受像機・オーディオプレーヤー・ネット接続・3D表示のほかに、目の前の風景にナビゲート情報が重ね合わせて表示されるHUDディスプレイなどが登場しています。
②カーナビの豆知識
カーナビが普及する以前、知らない場所への車の運転には地図が必需品でした。地球の上空をまわる人工衛星から信号を受取り位置情報を知る全地球測位システムGPSが開発されてからは、カーナビを利用すると10数m~数10 cm以内の精度で自分の位置情報がわかるようになりました。
カーナビの位置情報の基準となる緯度と経度ですが、これは地図を制作する会社が地球上にあるすべての場所に、緯度と経度を割り当て誤差を修正する膨大な作業を繰り返しながらつくりあげたもの。この作業がなければ、現在のようなカーナビの発展はなかったともいわれています。
現在のカーナビは、使用する記憶メディアが異なるSDナビやSSDナビ、DVD ナビなどがありますが、パソコンでも使われるハードディスクドライブを内蔵した、地図データや音楽・動画データなど大容量の書き込みができるHDDナビが主流となっているほか、スマートフォンやタブレットのカーナビアプリケーションで代用する機会が増えています。
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