①エアコンの歴史
1750年代に蒸発の原理を使って物体を冷やしたという実験に始まり、現在のエアコンの原型となるものは古くから考案されてきました。電気式のエアコンが登場するのは1902年(明治35 年)。アメリカのウィリス・キャリアが発明した、印刷工場の中の温度と湿度を制御するためのエアコンが最初でした。温度と湿度を一定に保つことで業務の効率が向上したことから、さまざまな工場に導入されエアコンの需要が高まります。
1930年(昭和5年)になると、アメリカの科学者トーマス・ミッジェリーがフッ素と塩素の化合物であるフロンガスを発明。理想的な冷媒法と認められエアコンに導入されると、フロンガスの生産量が急増します。
日本では、1950年代にルームクーラーという名前で、室内機と室外機が一体型の大型のエアコンが登場しますが、当初は店舗や施設などでの利用されるのみでした。1960年代になると、室内機と室外機が分離した製品が発売され、ルームエアコンという名称で一般家庭にも徐々に浸透。その後、除湿機能が追加されるなどしながら省エネタイプの開発や室外機の小型化が進みます。
1974年(昭和49年)には、フロンガスによるオゾン層破壊の実態が発表され環境破壊への懸念から2020年に撤廃が決定。代替フロンHFCという新たな冷媒が開発され現在のエアコンに使用されるようになりました。
②エアコンの豆知識
エアコンは、気体を圧送する圧縮機、外気との熱交換を行う凝縮器、室内の熱または冷気を奪い液体から気体にする蒸発器から成り立っています。家庭用エアコンには、圧縮機・凝縮器・蒸発器が一体になった窓型、蒸発器を内蔵した室内機と圧縮機・凝縮器が一体になった室外機に別れるセパレート型の2種類があります。
冷房・暖房・ドライ(除湿)の機能を持つエアコンですが、1981年(昭和56年)に東京芝浦電気(現東芝)が発売したインバータエアコンの登場により、エアコンの心臓部ともいえる圧縮機の機能が飛躍的に高まりました。インバータは、電源周波数を変えることでモーターの回転数を制御する装置。インバータが搭載される前は、スイッチをオンにするとフル稼働、オフにすると停止という単純な制御しかできなかったため、室内温度を一定に保てませんでした。インバータをエアコンに搭載することで、モーターの回転数をこまかく制御できるようになり、強弱を加えながらの快適な温度設定が可能になりました。
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