①炊飯器の歴史
日本全国に電気が普及したのが1950年前後ですが、当時の一般家庭では、炊飯や洗濯などの家事は手作業が基本でした。電気の普及に伴い、木製の箱に電極をつけたり、ヒーターで加熱したりする炊飯器が開発されますが、まだ一般家庭で利用できるようなものではありませんでした。
1955年(昭和30年)に東芝から発売された自動式電気釜は、自動で電源が切れる機能がついた画期的なもので、翌1956年(昭和31年)には、松下電器が電気炊飯器を発売。1960年代になると、事前にセットしておけば指定の時間にご飯が炊き上がるタイマー機能、保温機能がついた炊飯器が登場します。
ご飯の炊き加減や白米以外の米にも対応できる多機能な炊飯器が登場するのは1980年頃から。2000年代には、風味の良さが追求され、鉄入りや土鍋コーティングの内釜の電気炊飯器が登場し高級化が進みます。
ガス炊飯器は、1902年(明治35年)に発売以来各ガス会社で開発されていましたが、一般家庭にガスが普及するのは電気と同様1950年前後。一部家庭にも普及しますが、1960年代以降は電気炊飯器の普及に伴い需要が減少。現在は、食堂や給食センター、料亭などの施設で利用されています。
②炊飯器の豆知識
電気やガスの炊飯器が登場する前、日本ではかまどで薪を燃やしながら羽釜というご飯専用の釜を利用して炊飯をしていました。かまどで炊くご飯は、強い火力で炊き上げるため、芯までふっくらとした美味しいものでしたが、手間がかかるものでした。
電気が一般家庭に普及するにつれ、スイッチを入れるとご飯が自動で炊ける電気炊飯器が発売開始され、ご飯を温かいまま保存できる保温機能を持つ炊飯器も登場します。
便利な機能と共に追求されたのが、以前のかまどで炊いたようなふっくらとした美味しいご飯の味。その実現のために、電磁加熱式のIH炊飯器が開発されます。
IH炊飯器は、炊飯器の釜の側面や蓋、底に導線を多重にしたコイルをつけて電流を流し、炊飯器の釜全体を強火で包み込むようにしながら炊飯します。弱火から強火、沸騰したらまた弱火に戻るというかまどの火加減を再現でき、より美味しく仕上げるために遠赤効果や圧力がかかるIH炊飯器も登場しています。
近年では、電子レンジで加熱する簡易な炊飯器も発売されるようになり、少量でもふっくらと美味しいご飯を炊けることから利用が広がっています。 |